東銀座と私/尾上松也(後篇)

東銀座と私/尾上松也(後篇)

2023.04.26
東銀座と私
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今と昔を結ぶまち、東銀座。まちや風景は変わってもそこで過ごした時間やかけがえのない経験はいつまでも心に残り続ける―
この春、東銀座にゆかりのある方々に東銀座や銀座、築地など含めこのエリアで過ごした想い出やこれから期待することなどを文や絵など形態にとらわれず、前篇・後篇として2回にわたり自由に綴っていただくエッセー企画「東銀座と私」を新たにスタートしました。
その第1弾となる今回は、銀座7丁目で生まれ育ち、舞台や映像の世界で多方面に活躍する歌舞伎俳優・尾上松也さんにご寄稿いただきました。今回は、後篇をお届けします。

歌舞伎座

初舞台を含めて小さい頃から歌舞伎座には多く通いましたが、その周りの風景や雰囲気は、これだけ年月が経っても、やはり歌舞伎座があり、銀座・和光(以下、和光)、松屋銀座(以下、松屋)、銀座三越(以下、三越)がある、というまちの構図は変わらないのですよね。もちろん、まちの外観とかお店とか細かいところは変わってはいると思いますが、代名詞的なものってほとんど変わっていない。僕もいろいろなまちに引っ越して住みましたし、地方公演も含めていろいろな地域に行きましたが、歌舞伎座からずっと和光の方面にいって松屋に抜けて、博品館のある通りの辺りにいる時がやはり一番癒されるというか、精神的に1番落ち着きますね。見ていて心地いいです。

大人になってからよく行くようになったのは、銀座の繁華街や飲み屋街。そういうところは子供の頃はまったく用がなかったので、大人になって知り合いや友人ができたりして、並木通り周辺の飲み屋さんなどお店にいったりすることは増えましたね。

数寄屋橋交差点

それから、小さい頃に出かけるとなったら博品館や松坂屋、松屋、三越のおもちゃ売り場に直行していたものが、大人になって洋服などを買うようになってくると数寄屋橋の方にも用ができるようになりました。最近ですと、特に数寄屋橋近辺はいろいろなお店が増えたので、買い物に行くことも多いです。築地市場の場外なんかも、ごはんを食べたり、時間があるときは行っています。

海外の方もたくさんいらしていて、これからどんどん国際的になっていくかもしれませんし、このまちがいろいろな方に知っていただけたらいいなという気持ちももちろんありますが、僕はずっと変わらないでいて欲しいなとも思っています。特に銀座の持っている“美しさ”や“品の良さ”というのは、日本中のどのまちにいっても、僕にとっては特別だと感じますし、やはり国内でも銀座は一目置かれているまちだと思います。それは住んでいたからとか地元だからということではなく、客観的に見てもとてもそれを感じるまち。その部分を支えているのは、おそらくそこに生きている方々や商売している方々がそれを大事にしているからだと思うんですよね。このまちを守る方たち、整備する方たちも含めて、銀座という品位や質を大事にしているから、昔からの雰囲気がそのまま保たれている。ですので、世界中の方が来てくださって嬉しいのはもちろんのこと、僕の中ではいつまでもその雰囲気と要素というのは、何があっても変わらないまちであって欲しいなと思います。

銀座の風景
「東銀座と私」第1弾 尾上松也さん 前篇

尾上 松也(おのえ・まつや)https://onoematsuya.jp/
1985年生まれ。父は六世尾上松助。1990年5月、歌舞伎座『伽羅先代萩』の鶴千代役にて二代目尾上松也を名のり初舞台。歌舞伎の舞台をはじめ、ミュージカルや大河ドラマ、テレビドラマなど幅広く活躍している。

尾上松也 プロフィール

「團菊祭五月大歌舞伎」『寿曽我対面』曽我五郎時政役
日程:2023年5月2日(火)~27日(土)/ 会場:歌舞伎座

「團菊祭五月大歌舞伎」公式HP

「新作歌舞伎 刀剣乱舞」演出・出演
日程:2023年7月2日(日)~27日(木)/ 会場:新橋演舞場

「新作歌舞伎 刀剣乱舞」公式HP