東銀座と私 / OSK日本歌劇団 楊琳（前篇）
今と昔を結ぶまち、東銀座。まちや風景は変わってもそこで過ごした時間やかけがえのない経験はいつまでも心に残り続ける―
東銀座にゆかりのある方々に東銀座や銀座、築地などを含め、このエリアで過ごした想い出やこれから期待することなどを文や絵など形態にとらわれず、前篇・後篇として２回にわたり自由に綴っていただくエッセー企画「東銀座と私」。
その第8弾となる今回は、日本三大少女歌劇の一つとして日本のレビュー文化を牽引し、笠置シヅ子、京マチ子、秋月恵美子らのスターを輩出したOSK日本歌劇団のトップスター 楊琳さんにご寄稿いただきました。
東銀座のまちの想い出や東京公演の本拠地となっている「新橋演舞場」のお話、そして7月南座「レビュー in Kyoto」、8月新橋演舞場「レビュー 夏のおどり」をもって退団することを発表した現在の想いを綴っていただきました。
私の幼いころの思い出は、休日のドライブ。
横浜出身の私は、車が好きな祖父とドライブが好きな祖母に連れられ、よく銀座のまちに連れてきてもらいました。銀座では、祖母の大好きだった木村屋のあんぱんを買いに行っていましたね。木村屋のあんぱんといえば銀座を代表するグルメの一つではないでしょうか。たくさんの種類があってどれにしようか迷ってしまいます(笑)
実は、横浜から銀座までは、車だと1時間かかるか、かからないかで行けるんです！ドライブにはピッタリの距離ですよね。皆さんも是非、ドライブしてみてください～。
銀座・東銀座・築地エリアは幼いころから訪れていたものの、ぼんやりと認識していたくらいでした…。
東銀座というまちをはっきり認識したのは、OSK日本歌劇団に入団し、2014年の新橋演舞場初公演「レビュー 夏のおどり」で舞台に立たせていただいてからだったと思います。
©松竹株式会社
東銀座は、改めて訪れると、歌舞伎座と新橋演舞場、そして松竹様の映画館や本社があるまち。
「お芝居のまち」という印象が強いです。お芝居と言ってもミュージカルというよりかは、日本の古き良き伝統を守る「伝統文化を繋ぐお芝居のまち」ですね。
その中でも特に歌舞伎座の存在は大きいのではないでしょうか。
歌舞伎座を中心に日本の文化が発展していった。東銀座のまちを象徴する建物の一つだと思います。
あのどっしりした中にある凛とした佇まいは本当に素敵ですよね。以前より、歌舞伎座では沢山の公演を拝見させていただいており、今年の4月も「四月大歌舞伎」を拝見しました。
歌舞伎は、拝見して楽しいのは勿論ですが、何より舞台人として大変勉強になります。美しい踊りの所作や優美な立ち振る舞いは、私たちの公演で行うレビューの学びにもなります。
特に思い出深い作品は、2020年10月に上演された「十月大歌舞伎」第四部 坂東玉三郎さんによる 映像×舞踊 特別公演『口上』『楊貴妃』です。この公演は新型コロナウイルスの感染拡大により、未だかつてない状況下の中で実施された公演でした。しかし、コロナ禍ならではの新しい試みを取り入れ、お客様に楽しんで頂く心を忘れない演出に感動したことを覚えています。私もどんな状況であってもお客様に楽しんで頂く心をお客様を楽しませる心を決して忘れてはいけない、と深く再認識した公演でもありました。
後篇では、新橋演舞場のお話を中心にさせていただきます。思い出のあるグルメも紹介できたらと思いますので、後篇も楽しみにしていてください！
＜プロフィール＞
楊 琳
OSK日本歌劇団トップスター
神奈川県横浜市出身。2007年に入団し、同年「春のおどり」で初舞台を踏む。2016年の「ROMEO＆JULIET」で劇場公演初主演。2018年～2019年にかけて「円卓の騎士」「新撰組」と主演公演を多数経験し、頭角を現す。
2021年4月よりOSK日本歌劇団の新トップスターに就任。お披露目公演となった「レビュー 夏のおどり『STARt』」では、エネルギッシュに華々しい姿でOSK日本歌劇団の新たな時代の到来を印象づけた。2022年の劇団創立100周年には、大阪松竹座「劇団創立100周年記念式典」、大阪松竹座、新橋演舞場「レビュー 春のおどり」、京都南座「レビュー in Kyoto」、2025年大阪・関西万博の開催に向けた文化芸術プログラムとして「レビュー Road to 2025!!」と記念公演が続き、その節目の時をトップスターとしてけん引した。2024年1月、7月に南座で行われる「レビュー in Kyoto」、8月に新橋演舞場で行われる「レビュー 夏のおどり」をもって娘役トップスター舞美りらと共に退団することを発表。
「レビュー in Kyoto」
日程：7月13日～21日／場所：京都南座
「楊琳・舞美りら メモリアルステージin浅草」
日程：7月30日～31日／場所：浅草花劇場
「レビュー 夏のおどり」
日程：8月7日～11日／場所：新橋演舞場
