東銀座と私 / OSK日本歌劇団 楊琳(後篇)

東銀座と私 / OSK日本歌劇団 楊琳(後篇)

2024.06.28
東銀座のまち
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今と昔を結ぶまち、東銀座。まちや風景は変わってもそこで過ごした時間やかけがえのない経験はいつまでも心に残り続ける―
東銀座にゆかりのある方々に東銀座や銀座、築地などを含め、このエリアで過ごした想い出やこれから期待することなどを文や絵など形態にとらわれず、前篇・後篇として2回にわたり自由に綴っていただくエッセー企画「東銀座と私」。
その第8弾となる今回は、日本三大少女歌劇の一つとして日本のレビュー文化を牽引し、笠置シヅ子、京マチ子、秋月恵美子らのスターを輩出したOSK日本歌劇団のトップスター 楊琳さんにご寄稿いただきました。
東銀座のまちの想い出や東京公演の本拠地となっている「新橋演舞場」のお話、そして7月南座「レビュー in Kyoto」、8月新橋演舞場「レビュー 夏のおどり」をもって退団することを発表した現在の想いを綴っていただきました。

新橋演舞場公演は運動会!?

新橋演舞場は、私にとって、とても大切な場所です。
はじめて新橋演舞場の舞台に立った時のことは、今でも鮮明に覚えています。
新橋演舞場の第一印象は、なんといっても舞台幅の広さ!大阪松竹座や南座は客席が縦に長いですが、新橋演舞場は横に広いんです。なので新橋演舞場での公演では、大阪松竹座や南座よりも移動の歩数が多くなる…!公演中は運動会をしている気分です(笑)。その代わり、お客様との距離がとても近く感じますし、照明は他の劇場に比べ強く明るく感じます。大阪松竹座、京都南座、どの劇場も大好き〜!劇場ごとの良さを感じながらご観劇いただけると嬉しいです!

新橋演舞場での公演前のちょっとした楽しみは、劇場周辺に来るキッチンカー。私たちはリハーサルや楽屋を整えるため、公演日より前に劇場入りをします。その日は、東銀座のまちで働かれている皆様も利用される、劇場の近くに出店されるキッチンカーが密かな楽しみです。作り立ての温かいご飯を食べられるのは、大変嬉しいですし、毎回変わるメニューも必見です!
そして忘れてはいけない、公演の安全と成功祈願のお参り。
新橋演舞場の正面入口横にお祀りされている「演舞場稲荷大明神」へのお参りは公演時、欠かさずに行っています。

演舞場稲荷大明神

東銀座はグルメのまちというイメージもあります。
コロナ禍前、差し入れがまだ受け取り可能だった時に頂いた「アメリカン」のサンドウィッチはとてもおいしかったです。“これぞ東銀座グルメ”を味わえた事も嬉しかったですし、アメリカン名物の溢れんばかりの具にびっくりしました。あとは、歌舞伎座の横にお店を構える「白金や(プラチナや)」のおいなりさんも印象に残っています。おいなりさんのお揚げが炙られていることが新鮮でした。
そして、昔ながらのお店が軒を連ねながらも新しいお店も続々とオープンされていますよね!(以前、歌舞伎座観劇の前に立ち寄った「観音山フルーツパーラー」は、写真映えするような見た目が可愛らしく、みずみずしい果物がとっても美味しかったです!)

「アメリカン」のサンドウィッチ
「観音山フルーツパーラー」
撮影:楊琳

東銀座は、お芝居に限らず、グルメや日本の伝統が色濃く残っているまちです。これからも、そしてその先も、この伝統がずっと守られることを願っております。伝統を守るということは、継続する事でもあると思います。私たち、OSK日本歌劇団も先人の皆様から受け継がれた伝統や継続の力、そして皆様からの温かいご声援で劇団創立100周年を迎えました。継続し続けることは、簡単なことではありませんが、この先も東銀座のまちと共にOSK日本歌劇団もずっと続くと良いなと思います。
また、私事ではございますが、8月に新橋演舞場「レビュー 夏のおどり」にて退団をさせていただきます。退団を控える今、より多くの方々に劇場に足をお運びいただき、OSK日本歌劇団を観ていただきたいと強く思います。NHK連続テレビ小説「ブギウギ」でOSK日本歌劇団のことを知っていただいた方もいらっしゃるかと思います。まずは、劇場で直に生の舞台の迫力を体感していただき、OSK日本歌劇団を好きになってくださる方が、1人でも増えるよう、真心込めてお届けいたします!

OSK日本歌劇団 「レビュー 夏のおどり」

<プロフィール>
楊 琳
OSK日本歌劇団トップスター
神奈川県横浜市出身。2007年に入団し、同年「春のおどり」で初舞台を踏む。2016年の「ROMEO&JULIET」で劇場公演初主演。2018年~2019年にかけて「円卓の騎士」「新撰組」と主演公演を多数経験し、頭角を現す。
2021年4月よりOSK日本歌劇団の新トップスターに就任。お披露目公演となった「レビュー 夏のおどり『STARt』」では、エネルギッシュに華々しい姿でOSK日本歌劇団の新たな時代の到来を印象づけた。2022年の劇団創立100周年には、大阪松竹座「劇団創立100周年記念式典」、大阪松竹座、新橋演舞場「レビュー 春のおどり」、京都南座「レビュー in Kyoto」、2025年大阪・関西万博の開催に向けた文化芸術プログラムとして「レビュー Road to 2025!!」と記念公演が続き、その節目の時をトップスターとしてけん引した。2024年1月、7月に南座で行われる「レビュー in Kyoto」、8月に新橋演舞場で行われる「レビュー 夏のおどり」をもって娘役トップスター舞美りらと共に退団することを発表。

「レビュー in Kyoto」
日程:7月13日~21日/場所:京都南座

「レビュー in Kyoto」公式HP

「楊琳・舞美りら メモリアルステージin浅草」
日程:7月30日~31日/場所:浅草花劇場

「楊琳・舞美りら メモリアルステージin浅草」公式HP

「レビュー 夏のおどり」
日程:8月7日~11日/場所:新橋演舞場

「レビュー 夏のおどり」公式HP

OSK日本歌劇団 公式HP OSK日本歌劇団 公式Instagram